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エバーシステム株式会社CEOが徒然なるままに書き記す何かです。

クリステンセン教授のJOB理論(JTBD理論)で説明できる、なぜ韓国でキムチ冷蔵庫がバカ売れしたのか。

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私は、様々なマーケティング事例の中でも「キムチ冷蔵庫」の成功が、イノベーションの本質だと考えています。

 

韓国ではキムチがよく食べられているのはご存知と思います。だからキムチ用冷蔵庫も売れるのではないか?と思われたかもしれませんが、そもそもキムチ用の冷蔵庫自体は販売されていませんでした。

 

それが1995年に発売されるや否や急激に売上をのばしました。

 

それは、その当時の韓国人が抱えている「問題」に答えがありました。

 

他の国に比べて韓国人はキムチをたくさん食べます。だから、その問題とは、キムチをたくさん保管したいというニーズかと思うかもしれませんが、実は違います。

 

蛇足ですが、日本で一番売れている漬物も実はキムチらしいです。

 

本当に韓国人が何とかしたいと思っていた問題とは

 

「冷蔵庫の他の食べ物にキムチのにおいを移したくない」

 

というものだったのです。

これをハーバード大学のクリステンセン教授が「片付けるべき仕事」といいます。

 

これは韓国で食生活が多様化するにしたがって、どんどんと湧き上がってくる問題となりました。確かに冷蔵庫に韓国料理だけが入っていれば気にならないかもしれませんが、他の様々な国の料理や食材が冷蔵庫に入っていると、ちょっとそれは気になってしまいます。

 

でも、キムチを食べる文化は変わらずにあります。そこで、「キムチを保管できるけど、他の食材に匂いの移らない方法がないかな~」ということで、キムチ専用冷蔵庫が選ばれたのです。

 

前出のクリステンセン教授はこれを「雇用する」という用語を使って表現しています。

 

片付けるべき仕事があって、それに対して雇用する商品やサービスがある。

 

この理屈を理解することで、どんなものが本当に売れるのかが理解できるということです。これはビッグデータや売上集計データから読み取ることが難しいものです。

 

例えば多くの種類のバッグの中でこのバッグが特別にたくさん売れているという状況があったときに、プロダクト志向の場合、売れているバッグのデザインが良いのか、価格が良かったのかと考えてしまいます。

 

しかし、「片付けなければならない仕事」は何か?という視点を持った瞬間、私たちが何を作らなければならないかが変わるのです。

 

それは「有名人が持っているものと同じものを持ちたい」という「片付けなければならない仕事」かもしれませんし、「雨の日にも中のものが濡れない」という仕事を片付けるためかもしれません。

 

それを探っていくことで、あなたは「売れる」という状態を常に作り出すことができるようになるのです。

 

JOB理論という著書の中にはキムチ冷蔵庫の事例はありませんが、これは私が以前からこの視点がとても重要だと思っていた事例で、それにうまく理論づけしてもらったような感じがしました。

 

著書の中にはもっとたくさんの成功事例があり、そのどれもが私たちのような小さな会社でもイノベーションを起こせることを証明してくれています。

 

エバーセミナーというサービスも、片付けなければならない仕事は明確です。

 

JOB理論に基づいた商品開発はこれからの多様性の時代に重要な示唆を与えてくれるでしょう。

 

 

ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

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